兵庫県立美術館で開催されている「カミーユ・ピサロと印象派」展へ行ってきました。
印象派と言えば、モネやルノワールを思い浮かべ、ピサロは地味かもしれません。
でも、間違いなく絵画に光の革命を起こした印象派の一人です。
ピサロの風景画は、とりとめのない風景が多く、1枚の絵からも同じような調子で色を重ねている感じで素朴な作品です。
それでも、じっと絵を見つめ部分部分をみていると浮き出てくるような感覚があり、また、微妙な色遣いが何とも言えません。
ピサロは「誰も見向きもしないような辺鄙(へんぴ)な場所に美しいものを見る人こそ幸福である」と述べているように、何の変哲もない風景に美しさをとらえ、それを表現しているのでしょう。だから、どの絵の緑もいきいきとして見えるのかもしれません。
モネの作品で「霧の中の太陽」も展示されていましたが、やはりこれはすばらしい!
色あいの美しさ、そして見事に光を表現しています。
この表現力のすばらしさが、皆を虜にする所以なのでしょう。
これをみると、モネの偉大さを感じます。
さて、話はピサロに戻しましょう。
印象的だったのは、最後の二人の物乞いの絵「「木の下の農民、モレ(小さな物乞い)」です。
ピサロは、光の部分だけでなく、影をも見ていました。
それは世の中の「影」
豊かになる一方で、貧しい人々がいた。うわべだけが豊かになっていた。
明るい理想ばかりに気を取られると、世の中の「影」の部分を見逃す。
そこで、二人のかわいらしい物乞いに光をあてています。
光輝く緑の中に、寄り添う二人。「影」に光をあふれさせました。
そんなピサロの展覧会、とても充実したよい展覧会でした。
美術館の屋上に巨大カエルのオブジェ!
このカエル「美(み)かえる」というそうです。